ハードコアテクノ団地

エンターテインメントに払う金は惜しまない

夏の旋律とはアイドルの言霊(CHEN JAPAN TOUR 2023 - Polaris - 2023.9.3)

みなさん、初秋とは名ばかりの暑さですが、いかがお過ごしでしょうか。チェンくんのソロコンです。

今回のツアーは8月下旬から9月中旬まで続く全国ツアーで、私は横浜2日目のみ参加しました。終わった瞬間に「何故たったの1公演のみで気が済むと思ったのか?」と大後悔に襲われるほど、とにかく最高のステージでした*1。ここでは私が目にして感じたものを書き記していきたい。

 

ポラリスの登場

開演前、ステージ上にはツアータイトルとロゴが大きく映し出された幕が下りていた。その向こう側には人の気配があり、抑えた音出しでサウンドチェックをしているのが分かる。これはバンド編成ならではの時間だ。そろそろ始まる、というざわめきと緊張感が空間に充満していく。

16時を少し過ぎた頃、照明が落ち、下りていた幕はそのままスクリーンになった。扉を開けて部屋に入るチェンの姿が映し出され、どこか寂しさが漂う室内には布に覆われたピアノがぽつんと佇む。静かに布を外し、鍵盤にそっと乗せられた両手が逡巡するようにぴたりと止まり、暗転する視界。暗闇に包まれる会場にピアノの音色が響き渡った瞬間、息を呑む観客の気配。まるで映画のタイトルが浮かび上がって見えるような、期待と高揚感が波紋のように広がるオープニングだ。そしてゆっくりと幕が上がった中央に、彼はひとり立っていた。

 

柔らかいヴェール越しに届けられたもの

今回のツアーは二部構成だ。前半はバラード曲、後半はアップテンポ曲を中心にセットリストが組まれている。前半では純白の「幕」がとても良い仕事をしていた。冒頭の幕開けも全開するのではなく、中央だけがカーテンのように控えめに開くというものだった。四方八方から照明を浴びながら眩い光の中で歌い踊る、普段のEXOとして立つステージとは全く異質と言っていいだろう。自分の存在感を限りなく削ぎ落とし、あくまで物語の語り手としての役割に徹する。曲と歌で真っ向勝負するストイックさは、数多のドラマOSTを彩ってきた「OSTの帝王」の名にも通ずる姿だ。

中盤のBeautiful Goodbyeではステージに再び幕が下り、その奥でチェンが歌い、幕には日本語に訳された歌詞が映し出されるという演出が見られた。これがとても素晴らしく、彼が本気で、ここに来ている人達に歌を届けたいという思いが込められた演出だったのではないか。以前もEXOツアーのチェンのソロステージで、日本語訳の歌詞をスクリーンに出してもらうようにスタッフ達に直接交渉したというエピソードがあった。観客の感動を最大限引き出したいという彼の願いが、このような秀逸な演出として結実したのではないだろうか。そしてその思いは見事に観客に届き、私達は星を見上げるような心持ちで彼の歌に聴き入った。公演のハイライトのひとつである美しい光景を生み出したヴェールは、清廉で厳かで、観客とステージを隔てる、柔らかな「膜」でもあった。

 

音楽と向き合い続けるということ

チェンのステージの印象は、EXOでのパフォーマンスとは完全に別物と言っていいほど内向的だ。もちろん歌を歌って聞かせるという面においては、外に(観客に)向けて表現しているが、彼の歌唱はそれ以上に「歌と向き合うこと」に重点を置いている。特にバラード調の曲では、歌っている最中も、歌い終わった後も、観客の目を見て語りかけるような仕草はほとんど無く、静かに目を伏せて暗転していく曲が多かった。すっと現れて、光の中心で鮮やかに歌を歌い、余韻を残して消えていく。繰り返し、繰り返し。星の名を冠したツアーのタイトルが、この上なく相応しいのだと感じさせる。

チェンは素晴らしい歌手だ。歌唱力の高さは言うまでもないが、たとえ彼をよく知らなくでも、言葉ひとつひとつを丁寧に歌っている姿勢と、複雑な物語を歌に込めて聞き手に伝えられるスキルを感じ取れるだろう。ライブで音源とほぼ変わらない精度の歌唱どころか、それを超える巧さを表現できるのも特筆すべき点だ。チェンは「ライブが上手い」を超えて「ライブの方が上手い」のである。動画でもその上手さは実感できるだろう。直に彼の歌を聴くと、音源で感じる丁寧さ、音楽に対する誠実さが可視化されて目の前に現れ、とにかく全身にビリビリと響く。彼のEXOにおける超能力が「雷」とは、よくぞ割り当てられたものだ。アイドルとしてのパフォーマンス力も加味されて、その技術はかなりしっかりとした土台の上に構築されている。ちなみにMCでCream Sodaを少しだけ踊った後に「僕がまさか踊るなんて…」と話していたから、今回のツアーでは全く踊る気がなかったらしい。しかし軽く踊るだけであっても、動きの滑らかさはどう見ても一流のものであった*2

自身で培ってきたスキルと、歌の持つ力を信じ、観客を信じて歌う。涙を誘うほどエモーショナルでありながら、押し付けずにただ寄り添う。だが不思議とチェンのパフォーマンスからは、「歌で誰かを励ましたい」といった気負いが、最初から最後までほぼ感じられないのだ。勿論、人を感動させたいという気持ちもあるだろうが、あくまでも自分自身と向き合って生まれた音楽が、結果的に誰かの日常に寄り添えたらいい、というある意味で芸術家気質なところがあると思う。歌うことが大好きで、歌わずにいられない人が作り出す世界に私達は共鳴しているのだろう。

チェンが音楽に対する思いを話す場面もあった。音楽には当時の記憶や感情が全て溶け込んでいるから、今日のことも曲を聞くたびに思い出してもらえたら、とはにかみながら語っていた。良くも悪くも、音楽と記憶が紐付けされるのは誰もが身に覚えがある話だ。細部までは覚えていなくてもその時どんな気持ちでいたのか、曲を聞いている最中にふと蘇る時、彼の音楽が自分の人生の風景に刻まれたのだと感じる瞬間は、きっと素敵なものだろう。そして今日がそうなるだろうという予感も確かにあった。

余談だが、この日のチェンは終始会場中から可愛い可愛いと愛でられ続けていたのだが*3、「そろそろ最後の曲に…」と言った途端に観客が悲しむ様子を見たチェンが「じゃあ、僕の可愛い姿をお見せしたら、最後の曲にいってもいいですね?」と折衷案を出したものの、どちらも選べず見事に静まり返る観客のリアクションを見て「どうしたらいいんですか!朝までやればいいんですか!」と悶絶するくだりには笑ってしまった。*4

 

いつかまたここで会おうという約束

EXOメンバーのソロコンサートには、スホ、カイ、チェンの3人を見てきたが、EXOの曲を1曲もやらなかったのはチェンが初めてだった。ソロの持ち歌の数が違うということもあるだろうが、本人の中で明確にコンセプトを分けているのだろうことは演出からも感じられる。EXOと地続きではあるが、今回はソロならではの、グループでは出来ないこと、やりたいビジョンを実現する為に演出家を起用している点も大きいだろう*5。シンプルながらも世界観を大切にしているのが随所に感じられる公演は、チェンのこだわりが散りばめられている、純度の高いステージングを生み出していた。

何度となく観客への感謝の言葉を口にしていたチェンは、「10年、20年先もこうして歌っているはずだから、またそこで会えたらいい」と語っていた。それぞれの人生を生きながら、道が交わる所でまた会おうと手を振りあう。そうやって10年後の、20年後の彼の歌を聴けたなら、互いを北極星になぞらえて笑い合った時を懐かしく思える日が来たなら。マイクを観客に向けて会場中から歌声が返ってくるのを聞いて、「幸せだ」とくしゃくしゃの笑顔を見せた時の幸福感が、数十年先の願いもチェンならきっと叶えられるだろうと信じさせるのだ。

 

 

 

*1:せめて2回は見るべきでした。次回の反省にします。

*2:筋肉の動きが速すぎる。スキルがギュッと凝縮されている動きをしていた。

*3:噂によれば初日からずっと可愛がられている模様。

*4:自分は朝まで歌ってもいいけれど、大変なのは皆さんの方では?ということを言っていたような気がする。

*5:shojiさんの演出とても素晴らしかったです。ありがとうございました。

ノーアイドル、ノークライ(EXOファンミーティング 2023.4.15,16)

みなさん、遂にやって参りました。EXOのペンミです。

私は過去に行ったことがあるEXOのコンサートが2019年の宮城公演のみなので、6人のEXOが最高人数だったのですが、今回は8人での来日ということでわくわくソワソワしておりました。当然EXOのペンミも初めての参加です。なんかみんながすごい盛り上がってキャッキャウフフしてるやつ、というイメージだけはありました。

今回開催地は埼玉県所沢市にあるベルーナドームで、先だって開催されたSUPER JUNIORのコンサートに行った人達から「とにかくヤバイ所だから気をつけろ」とアドバイスされ、始まる前から色んな意味でかなり盛り上がりを見せていました。*1

それでは、約5年振りの開催となったペンミで目撃した8人の様子を、覚えている限り書き記したいと思います。記憶違いも多々あるかと思います。ご容赦ください。

 

 

みんそぎひょん:スーパーアイドルシウちゃん

とにかく「スーパーアイドルだ…」と言いたくなるほど、みんそぎひょんがスクリーンに映ると一発でスクリーンがピカーッ!と華やぐんですよね。ジェスチャーゲームでカイさんと並んで双眼鏡構えてジッ……と見つめている姿がかなりシュールで、本当にかわいかったです。あんなにかわいいのに、ゲームで勝っているのに何故かセンブリ茶を2日間とも飲んで「ヴォエアアー!!!」と呻いてから物凄い渋い顔で沈黙してるのが面白すぎました。どうしちゃったのみんそぎひょん。

みんそぎひょんはゲームでも静かに活躍していて、クッション運び対決ではカオスなステージとは裏腹に1人せっせとクッションを運び続けてチームを勝利に導いていました。そのせいでしばらく1人だけ息切れしている状態で、周りから「ヒョンなんかすごい疲れてるね?」みたいな空気になっているのも、若干理不尽でEXOちゃんっぽいなと思いました。最年長なのに1番運動させられている。*2

あとイラスト対決の時、ちょうど近くにチャニョルちゃんとギョンスがいたのでステージで何が行われているのか全く頭に入って来なかったんですが、パッとスクリーンを見たら彼が描いた絵が映し出されていて、その時だけ「狼だ…絵がうまい…」と我に返りました。みんそぎひょん、絵上手かったんだね…知らなかったよ…。

今回みんそぎひょんとギョンスが加わったBIRDを初めて聞けたのですが、みんそぎひょんの澄んだ歌声はBIRDと大変相性が良く、曲そのものも更に軽やかになっていて、これがBESTバージョンであるという説得力がありました。元々やさしくて素敵だったBIRDという曲が、ますます良い曲になりましたね。これからもたくさん歌ってほしい。

また2日目の最後にキラキラとしたお顔で語ってくれた「愛してた、愛している、愛していく」も素敵でした。そしてそれを聞いて数秒後に「さ〜すがロマンティックシ〜ウミン☆」と茶化すベクちゃんの反射神経の良さが恐ろしかったです。

 

スホひょん:キラキラ(発光)リーダースホ

スホひょんは本当にキラキラと発光していて、あまりの美しさにちょっと恐ろしさすらありました。あんなに透明感がある美しい人なのに、ちょっといい感じのコメントを言うとメンバーたちから「エ〜〜イ………」とテンション低めのリアクションをされてしまう、我らがキラキラリーダースホひょん。慣れていらっしゃるのか、何を言われても「ハッハッハッハッ………(笑顔)」という反応で、それがまた無敵のスホワールド感が出ていました。

2日間ともスホひょんの白組さんは負けているのですが、どうやら名言を残すことにハマっていたご様子で、1日目は「みなさん、人生は一発勝負です…」と語り、2日目はセンブリ茶を飲んで一言、「つまり、人生は苦いということ…」とおっしゃっていたのですが、メンバーからの反応が薄くて最高でした。個人的に最も名言だと感じたのは、極寒だった1日目の「ここが屋内なのか屋外なのか分かりませんが…」というコメントだったのではないでしょうか。

最後のコメントで「僕たちはこれから走る準備をしています。みなさんも走る準備はできていますか?」とファンに先の楽しみを提示してくれた後、「約束だよ!」「愛してるよ!」「好きだよ!」「スノーボードだよ!(?)アアッ……*3」「ごめん〜♪」「ココロオープンマインドだよ〜」「あっついですだよ??」の全部乗せを披露した時の、いたずらっ子のような笑顔が最高にかわいかったです。ちなみに2日目は冒頭からカイココロオープンマインドを真似ようと上着を脱ごうとしたもののまさかのレースのシャツで胸元が透けていた為、カイさんに脱ぐのを止められていました。弟に止められるスホひょん。*4

 

ベクちゃん:相変わらずアイドルを生業としている天才

とにかくベクちゃんはステージ上での振る舞い方が超一級プロフェッショナル。特にカメラで抜かれるのが上手すぎでした。ゲーム中でもパフォーマンスでもカメラマンさんと阿吽の呼吸で、coming overでの「見たこともない(バッ!と振り向く)景色を(カメラがグイッとズーム)見に行きたくない?(ウインクばちーん)」のタイミングも表情も何もかもが完璧で最高で笑いが止まりませんでした。すごすぎるぞビョン・ベッキョン

アンケートコーナーにて、2023年版“重い荷物を持ってくれそうな人ランキング“でベクちゃんを選んだ人が3%しかいないという結果を見て「ウワァ!!!3%ォ!!??」と絶叫した時もグワッとズームアップにされていてだいぶ面白かったのですが、2018年版の回答結果では2%だったと知って「2%ォォ?!?!??」と再び絶叫していて死ぬほど笑いました*5。このペースだと2028年に4%になる計算です。カイさんに「ベッキョニヒョン(3%)とセフニ(2%)を足したらちょうど僕(5%)だねえ〜!」という小規模すぎるコメントも含めて面白すぎました。

何より今回のベクちゃんはみんなのことを、特にチェンくんのことをよく見ていて、場の空気を読んでさり気なく誘導するのが本当に上手くて賢い人でしたよね。チェンくんに「チェンさん、会場の熱気はどうですか?」と話を振って、「熱気ですか?そうですねえ、まだまだですけど…」と一言言った途端ベクちゃんが「まだまだですけど!ちょ〜〜っと!まだまだですけどね!!まだまだ足りませんけどね!!!?」と畳み掛けてチェンくんの3倍は喋っていたし、ベクちゃんの「大丈夫大丈夫!」という明るい声に、なんだか自分まで励まされる思いでした。あと全然違う話なんですけど、8人で最高の笑顔で写真を撮るお題で完全にカイさんをくすぐっているのも、この目で確かに見ましたよ。

 

チェンくん:安定感抜群歌唱力大声モンスター

今回のペンミは、会場の大歓声に迎えられてチェンくんが登場した瞬間「あっ!今日と明日は楽しい日になるぞ」という確信と安心感を得ました。会場中がポジティブで優しい雰囲気に包まれていて、私の近くにいた方は入場時にファンに笑顔で応えるチェンくんを見て「いいよ〜ジョンデいいよ〜!」とナイスな声援を送っておられました。いいよいいよ〜チェンくんいいよ〜!

そんな感じでファンに見守られていたチェンくんは相変わらずの声の大きさで、ご本人がお話している時は穏やかなんですが、他の子たちがお話したりリアクションしている最中に「ウワアーー!!!??」「ハハハ!!!ハハハハ!!!!」とあの声が響き渡るので、スクリーンに映っていない時の方が存在感があるというキム・ジョンデ・エフェクト全開でした。

ベルーナドームに行くのは初めてでしたが、「もしかしてベルーナドームって音良いのかな…?」と思ったのは、何と言ってもチェンくんの歌声がひび割れずにくっきりと響いていたからです。チェンくんはあれくらいの規模の会場が得意なのか?ってくらい綺麗にスコーン!と声が抜けていったので、多分ドームとか屋外に向いてるんじゃないでしょうか。彼の声はとにかくパワーが漲っていて、あの大きな声が会場中に響き渡ると「やったるぞ!!」と奮い立たされるような、背中をパシッと押されて止まっていた脚が一歩前に出るような、声に励まされるというのはこういうことなんだなという実感がありますね。

そして終盤に何やら「みなさんに言ってもいいか分からなくて言えなかったことがあって…」と口籠るチェンくんに、ベクちゃんが「大丈夫大丈夫!」と促していて何事かと思っていたら、物凄く躊躇った後に「好きだよ」が飛び出した時の、ベルーナドームの激震ときたら凄まじかったです。あれはみんなが気持ちを込めて投げていたボールを、チェンくんが受け取ってそっと投げ返してくれた瞬間だったと思います。ベクちゃんの優しいアシストもあり、今回のペンミのハイライトのひとつだったのではないでしょうか。

あとクッション運びゲームでステージ上がカオスになっている最中、たくみお兄さんの「チェンさんそれはクッションではありません!カイさんです!!」という声が聞こえてきて、どういう状況なのか全く分からなさすぎる文言に笑いました。 一体何が起きていたんだ。

 

チャニョルちゃん:絶対に勝ちたい世話焼きお兄さん

チャニョルちゃんはとにかくお話が上手で、以前SCのイベントでの言語能力の高さにも驚いたのですが、今回は更にパワーアップしていて、ほぼ通訳無しどころかメンバー達の通訳すらこなせるほどのレベルになっており、ただただ尊敬の念を抱きました。本当に凄すぎる。チャニョルちゃんの「話したいことがたくさんあります」という言葉もとっても素敵でしたね。たくさんお話聞かせてほしいよ〜全部聞きたいよ〜。

チャニョルちゃんは何と言っても理解力が高いのと負けん気が強いので、ゲームをやるチームメイトとして頼もしい存在なのですが、今回のチームメンバーがスホひょん、ギョンス、カイさんという、どちらかと言うとあんまりゲーム運が無さそうな子たちというか、多分ゲーム強い子チャニョルちゃんしかいないんじゃないか?という状態だったので、みんなをサポートしたりルールを説明してあげたりと、面倒見の良さが光っていましたね。お題通りの写真を撮る時、ギョンスのウインクを見たたくみお兄さんから「ディオさんのこれは…ウインク…?」と突っ込まれて「あ、ディオはウインクが下手なんです」とサラッと答えたり、縄跳び二重跳びの時も「カイはダンス以外何もできません」と言ったり、味方だけど言うことは厳しいところも面白かったです。あと白組さんは何故か基本的にくっついて立っているのが可愛かった。くっつきたがりが集まったチーム。2日目ではかなり近くにチャニョルちゃん&ギョンスのトロッコが来てくれたんですが、ギョンスと並んだ時のなんとも言えないサイズ感の差が本当にかわいくて、ギョンスの肩に腕を乗せてステージを見つめる2人の後ろ姿がキュートすぎてステージ上の出来事がすっかり頭から抜けています。

あと最後の方で「昔のライブ映像を見ていたら、ああこの頃に戻りたいなと少し思ったけど、これからもっといいライブをしたい」と語ってくれて、こうして時々ちょっと振り返りつつも前を見ているチャニョルちゃんが好きだなと思いました。多才な人なので、今後の音楽活動的な面も期待しております。

 

ギョンス:瞳の中に星がいる食いしん坊ちゃん

遂に肉眼でドギョンスを目撃しましたが、あまりの可愛さに驚きました。特に2日目は三塁側ブロック席で、チャニョルちゃんとトロッコに乗ってすぐ近くに留まっていたのですが、後頭部の髪のツヤツヤ感、ファンを見て手を振ったり丁寧にお辞儀をする姿、歌があんなに上手いのに喋ると声が小さい…、あまりにも魅力に溢れすぎている人でした。これがドギョンス…。

ロッコに乗りながら下にいるファンにアンニョーンと手を振っていたのですが、下を向いた時にギョンスの瞳の中にキラッと光が差しているのが見えて、「この子、瞳の中にお星様がいる…」と激震が走りました。いつも不思議な光の差し方をしている印象でしたが、実際に目の当たりすると「綺麗だ……」の一言に尽きました。本当に綺麗だった…。

そんなギョンスですが、ビョン・ベッキョンさんには滅法弱く、クッション運び対決で一生懸命クッションを運んでいる最中にベクちゃんに捕まって綺麗に頭からクッションプールに突っ込んでしまい、そのままチェンくんに脚で固定されて全く身動きが取れず大人しくなっていく様子にEXO界の弱肉強食を垣間見た気がしました*6。どう見ても勝てそうにないチーム分けでしたが、「明日も同じチームで対決だ!!!」と勝手に言い出して、2日目に本当に同じチームで対決(そして負ける)まで完璧な流れでしたね。あれだけ勝つ気満々なのに、万歩計振り対決で30台を叩き出すのもさすが。

ギョンスは一言一言が終始とても丁寧で、ピカピカの瞳で観客を見渡しながら「埼玉のベルーナドームという遠い所に来ていただきありがとうございます」と言ってくれて感動しました。埼玉を正しく認識してくれてありがとう、埼玉の地価があの一瞬だけ高騰しました。

あと終盤の挨拶で「僕は親子丼食べに行きます」と報告してくれて、あの時点で夕食に何を食べるか決めていて楽しみにしているアイドル可愛すぎますでしょ。ドギョンスの"かわいくてごめん芸"でEXO含む会場全体を掻っ攫うところもお見事でした。

 

カイさん:ステージに立つ喜びに満ちた人

カイさんはパフォーマンスしている時でもゲームをしている時でも、とにかく「舞台に立っている」全ての瞬間がとてもいきいきとしていて、どの時代に生まれても舞台に立つ人になっていたんじゃないかと思ってしまうほどでした。花道を歩きながらファンと密にコミュニケーションを取ろうとしたり、本当に最後まで名残惜しそうに手を振っている姿が忘れがたい。

8人のEXOのセンターを背負って立つカイさんはとにかく強烈な存在感で、coming overでジャケットを脱いで黒タンクトップ姿で踊っている時、肩から手先にかけてのしなやかな動きが遠目でもしっかり見えて、やっぱりこの人のダンスはすごい…と呆然としていました。曲や振付ごとにカイさんの表現したいものが指先に至るまで微細に散りばめられていて、全方位死角無しの美しさでした。

そんなカイさんですがゲームになると人一倍「たのしい〜!!(キャッキャッ)」とはしゃいでいるかと思えば、ゲームに負けた感想を求められて「何故負けた方にインタビューするんですか??」と言ったり、最後のゲームの得点が高いことに対して「最後のゲームだけで逆転できるなら、前半のゲームは意味あるんですか!?僕たちの気分が良くなる為だけにやってるんですか!?」といきなり我に返ったように正論を言い出すところがかわいかったです。*7

あと終始ギョンスにくっついていて、遠くからトテトテ!と戻ってきてピトッとギョンスの肩に肘を置いて定位置に収まるのがかわいかったです。ギョンスに「かわいくてごめんやって…」とおねだりしてるのを見て、おねだりが上手い…と感心しました。最後の挨拶も「日本でソロコンをやった時とても幸せだった。今日、メンバーがその時の僕と同じ顔をしていて嬉しかった」とカイさんらしい言葉で語ってくれていましたね。「みなさんが僕のことを好きな気持ちより、僕がみなさんを好きな気持ちのほうが、いつもちょっとだけ上ですからね」の「ちょっとだけ上」という表現もとても優しく、色んな気持ちを言葉に置き換えることに長けている人だなと思います。

 

セフン:最終回答者に向いていない永遠のベイビー(本人公認)

セフンちゃんは入場から御手を振りながら花道を歩いていく姿からして、EXO内でも彼だけが纏っている妙な優雅さが健在でしたね。しかしゲームになるとチャニョルちゃんとずっとニヤニヤしながらバシバシ煽り合って悪ガキムードになっているかと思えば、メンバー達に「セフンは抱き枕に抱きついて寝てます」「ベッドの上に大量の枕がある、緑色のやつ」「1人じゃ眠れないって言うんです」「シャワー浴びる時、目を閉じられないんです」と言い返す間も無く列挙された結果、「そうです!!!!僕は抱き枕に抱きついて寝ていて、ベッドには枕とぬいぐるみがあって、1人じゃ眠れなくて、シャワー浴びる時も目を閉じられないベイビーなんです!!!だから皆さんケアしてください!!!」と開き直っておられました。恐らくEXOは全員が「オ・セフンは俺が大切に育てました」と思っていそうなので、彼らに任せておけば大丈夫だろうという安心感があります。これからもかわいいケーキでお誕生日お祝いされ続けてほしいです。

1日目のダルマ落としでは、早々に決着がついて次のゲームへ…という場面でチェンくんが「セフンが!セフンがまだダルマ落とし1回もやっていません!セフンに1回やらせてください!」と言い出し、他のヒョンたちも「ほらセフナ!1回やらせてもらいな!ほら!やっといで!(バコーンバコーン)わあ〜〜上手だねえ〜〜!セフンがやったら勝てたんじゃないかな!?」という謎の時間があり、これがEXOにおけるオ・セフンのポジションか…と面白かったです。でもジェスチャーゲームで最終回答者になった途端味方から「セフンがあのポジションじゃもうおしまいだ」とガッカリされてるけど全然めげてないところも最高でしたね。

バスケのフリースロー対決で出番前に靴紐を結んでいたらギョンスに「靴紐結び直して何が変わるんだ、オセフン?」と煽られたものの見事にシュートを決め、「アッハッハア〜〜!!ドギョンス〜〜!!!(※年上)」と高笑いしながらギョンスを指差してる姿がマンネ・オン・トップの名に相応しい振る舞いでした。

 

総括:EXOちゃん全員宝物ちゃんだった

今回初めて8人のEXOを見ましたが、いや〜8人集まったEXOの威力すごいですね。coming overで横一列に並ぶところがまさに圧巻で、あまりの華やかさに息を呑みました。これが帝王か、と今更ながら身をもって理解できた気がします。1人1人のスキルが高くてバリバリに存在感とオーラがあって、もう誰を見ればいいのか分からず、全員同時に見たいのに叶わなくて心底困りました。みんな数分前まで万歩計振ってギャーギャーしていたのに、一体どうなってるのかよく分かりませんでした。プロアイドル恐るべし。

みんなでやいやい言いながらアンケート回答の結果を見たり、ジャンケンするのも大騒ぎだったり、EXOちゃんは騒がしいんだけどどこかマイペースさが漂っていて不思議ですよね。穏やかな口調でたしなめてくれるたくみお兄さんと非常に相性が良かったです*8

特に心に残っているのは、最後に歌うBIRDのラスサビ前、チェンくんの声が高らかに響いて広がっていくタイミングで銀テープが宙に舞い、会場中が目にも耳にもキラキラと輝く中でみんなが天井を見上げながら手を伸ばしている光景が、目が眩むほどの幸福感に満ちていて胸がいっぱいになりました。EXOありがとう。あんなに美しい景色を見せてくれて、その美しさの一部になれたことも嬉しかったです。

あっという間の時間でしたが、とにかく笑って過ごした2日間でした。終ってしまって寂しいですが、「君たちのそういうところ、ほんと好きだよ…」という瞬間ばかりで元気が出ましたし、とにかく充分すぎるほど幸せな気持ちにさせてくれました。EXOがEXOをやっている時の、EXOとしか言いようがないグルーヴ感を堪能できて大満足です。せっかくゲームに勝ったのにみんなでセンブリ茶を飲んでみたり、負けた子がご褒美のお菓子食べてても誰も何も言わなかったり、良いことも悪いことも分け合ってしまうのが彼らなんだなと。常にお互いをさりげなく気遣いながら、EXOが常にEXO自身の味方であろうとする姿を見て、私もそうやって彼らの味方でいたいと心から思いました。彼らがこの先も変わらずにいてくれるところも、変わっていくところも含めて、きっと好きなままでいるのだろうと思います。

メンバーがお互いを常に労い合っているのを見ると嬉しくなるのは、自分の好きなものが大事に扱われていると嬉しいからですね。そして彼らの姿を見て、ああ私も自分のことをちゃんと大事にして労ってあげよう、と思うのです。そういう感覚を再認識できたことも含めて、とても良い時間を過ごせました。

またしばらくは楽しかった2日間を反芻しながら、近々来るであろう走る日々に向けて体力をつけながら気長に待ちたいと思います。それまでみなさんもお元気で、サランハジャでございます。

*1:個人的には自然豊かでクラフトビールが美味しくて結構好きでした。4月なのに息が真っ白になるほど寒かったけど…。

*2:恐らく策士ベッキョンさんの采配によって。

*3:チェンくんにどつかれていた。

*4:結局脱いですぐまた着ていた。

*5:後に「1%ありがとうございます」と感謝を述べていた。

*6:ゲーム終わりにはチェンくんに頭を撫でてもらっていて可愛かった。

*7:たくみお兄さんも「それを言われると身も蓋もないんですが…」と困っておられた。

*8:是非とも次回もそのまた次回も、MCをご担当いただきたい…!

アイドルはきらめきの中に(KAI Japan Special Live 2023.1.28,29,31)

みなさん、お変わりありませんか。2023年です。

今回はEXOの、K-POPの、世界のセンターことKAIさんの初ソロツアーに参加しました。運良く4公演行けることになり、当日までとにかく体調を崩さないように過ごしながら、すぐそこまで迫る体調不良の波にビビり散らかしていましたが、どうにかグランドスラム達成しました。完遂記念にレポートをしたためたいと思います。

ちなみに各公演の座席は、

・名古屋:3階席ほぼ最後列

・大阪:3階席後ろから数えたほうが早い列

・横浜昼:1階席10列未満の中央ブロック

・横浜夜:1階席20列台右ブロック

というラインナップです。

名古屋と大阪はいわゆる天井席でしたが、会場が小さめなので肉眼でもうっすら表情が見える距離感だったのと、ステージ全体を俯瞰して見られるのでダンスのフォーメーションや照明演出を堪能できて、これはこれでかなり楽しめました。そして横浜は過去最高の良席でして、久し振りに近くてビビるという体験をしました。詳しくは後述にて。

 

それでは、名古屋、大阪、横浜×2で目撃したカイさんのプロフェッショナルすぎるステージングの様子を、曲とおしゃべりのそれぞれ覚えている限りをレポートしたいと思います。終演後に呆然としながらスマホのメモに諸々書き留めたのですが、記憶が混同しているところがあるかもしれません。毎度のことながらご了承ください。

 

①セットリスト

・DOOR

まさに扉が開いてカイさんが登場する、オープニングに相応しいパフォーマンス。ステージ上の照明は暗く、ほとんど表情は見えない分、しなやかな体の動きが映えて没入感があります。まさか生で見られるとは思っていなかった演目だったのと、いきなりとんでもないレベルのものを見せられて最初から圧倒されっぱなしでした。コンコン、と滑らかに扉を叩くシルエットが美しすぎて恐ろしさすら感じた。初っ端から出し惜しみ無し。

 

・Ride Or Die

個人的には、1曲目がこれなんだ…!と少し意外でしたが、一気にブチ上がるんじゃなくてしっとり幕が上がる演出が、カイさんが言うところの「大人の魅力」なのかもしれませんね。アルバムの最後から2番目の曲から始まるなんて、なかなか選曲が渋くてナイスです。渋いけれどダンサーさん達の巧さがよく分かるコレオがとても格好良い曲ですよね。カイさんがハットを外す時の、スッと伸びる腕のなんと美しいことよ…。

 

〜おしゃべりタイム〜

 

・Nothing on me

まず曲が大好き。不穏な空気漂う、愛すべきアルバムの2曲目。FILM:KAIの映像も大好き。カイさんの歌声と踊りが生む緊迫感、グネグネうねるベース音とサビで不安定に蛇行する主旋律が焦燥感を掻き立てる、大変魅力的な曲。この曲を聞くたび、ぐらぐらに揺れながら猛スピードで飛行する宇宙船を思い浮かべます。どの曲もそうですが、改めて1stも2ndも御本人の魅力を活かす曲ばかりだと思います。振付もあんなに目まぐるしいのに*1、カイさんがバッと顔を上げて終わる、ラストに訪れるあの静けさ…あんなの呆然としてしまうよ。

 

・Reason

まず曲が大好きPart2。FILM:KAIの映像も大好きPart2。あの映像最高じゃないですか?あれは完全におじさんのことをただの肉の塊だと思ってらっしゃる財閥のご子息ですよ。*2冒頭3人で踊るところから本当に格好良くてブチ上がりますが、みんな大好きstep up,step upのところで左から派手にステップしていくのがやっぱり上手すぎてシビれましたね。チーン!と指で針の動きをする振りが何度でも見たいくらい好きです。カイさんも不敵な笑みで踊ってるかと思えばニコニコ!としてて可愛くて、1曲の中で色んな顔が見られる。Reasonはいつも楽しそうで好き。

 

・Peaches

まるで祈りや儀式のようなパフォーマンスで、見た人全員を問答無用で「桃源郷って本当にあったんだなあ…」と陶然たる気持ちにさせる、世にも珍しいパワー型桃源郷ソング。全曲の中でもPeachesの時が1番蠱惑的な表情をしている印象で、それが曲にも合っていて素晴らしい。カイさんはセクシーでありながら神聖さを両立させられる素晴らしいパフォーマーですね。目線ひとつで枯れた大地には雨が降り、人々に恵みをもたらし、桃を狩りながら永遠に繁栄する……世が世なら屏風絵になって3000年くらい語り継がれていたはずです。

 

・Hello Stranger

FILM:KAIの映像を流してから曲が始まるのですが、こうしてあの美麗映像であるFILM:KAIをスクリーンで観られるのもなかなか贅沢な体験でしたね。ここから衣装が変わって白タートルネックニットにカーキのパンツというシンプルなものなんですが、これがまた…彼の美しさが際立つ素晴らしいコーディネートでしたね…。何も足さない、何も引かない。カイさんの肩〜肘〜手首の美しさは何度見ても衝撃的で、体のパーツの全てが踊りが美しく映える為に誂えられているかのようだった。踊っていなくてもただ立っているだけで美しかったですけども。

 

・Vanilla

もう、とにかく……とにかく素晴らしかった、の一言に尽きます。Vanillaの為にチケットを取ったと言っても過言ではないほど大好きな演目。3階席から見ると、Vanillaのイントロと同時にステージにスモークがサーッと静かに広がり、カイさんと4名のダンサーさん達がまるで雲の上で踊っているかのように幻想的で、この世のものとは思えないほど美しくて思わず涙ぐんでしまった。Vanillaでスモークを出そうと決めてくれた人ありがとう。そして中盤のBADA LEE先生とカイさんとペアダンス。こんな贅沢があるんだろうか?という組み合わせを映像で見た日からいつか絶対に生で見たいと熱望していて、今回は念願のBADA LEE先生帯同ツアーだったのですが……もうね、4回もあったのに、冷静な気持ちで見られた回は一度もありませんでしたよね。2人の一挙手一投足の全てが、本当に本当に心から美しかった。確実にこのVanillaは私の走馬灯に出るはずです。でもあと100回くらい見たいです。よろしくお願いします。

 

〜おしゃべりタイム〜

 

・I See You

これはすごいものを見た。Beyond Liveで披露された圧巻のI See Youが記憶に新しいですが、生で見るとカイさんの身体能力の高さや、指先や爪先にまで宿る怨念のような何かがグツグツと迸っていて、鬼気迫るものがありました。名古屋、大阪、横浜昼公演まではなるべくモニターではなく本人を見ていたのですが、最後の横浜夜公演だけ、一瞬スクリーンを見上げた時、「I See You…」と囁やきながら指の隙間から覗く目が恐ろしく冷たくて思わず固まってしまった。ひたっ、という音がしそうなほど冷え切った眼差しで、確かにBeyond Liveでもこの顔が凄く印象に残っていたのですが…いや凄まじかった…。

 

・Mmmh

どの曲でもそうですがMmmhの時は特に、カイさんがふわっとジャンブする度に0.5秒くらい人より長く宙に浮いてるように見えませんか?滞空時間が妙に長くないですか?その不可思議さがカイさんのダンスの魅力のひとつだと思うのですが、Mmmhの世界観にもぴったりハマっていました。サビの振付はかなりシンプルなのに、ボディウェーブひとつでこんなに魅せられるところがカイさんだな…*3と感心しました。正直やや難解な印象があるこの曲でソロデビューしてきたのもすごいと思います。個人的にカイさんのソロ作品は音楽面でもかなり好きなんですが*4、ライブで観て改めて良さを実感しました。どれも良曲ばかり。

 

・EXOメドレー

ここからアンコールという形なんですけど、今回のツアーはソロパート+EXOパートで実質二部構成だったと思います。後半のEXOタイムでは観客が見たいものを大盤振る舞いしてくれました。初日名古屋でウルロンのイントロが流れた瞬間の会場の爆発力が本当に凄まじく、会場中がどよめきと喜びで曲が聞こえにくいほどで、ボルテージが一気に上がるとはこのこと…!というくらい絶叫していたのに、ちゃんとタイミングぴったりに「セクシー!!!!」って掛け声しててみんな偉いなと思った。そこは外さない。

一方カイさんのほうは、名古屋で見た時はメドレーに入った瞬間、それまでのソロアーティストKAIと全く違う空気になり、柔らかさが消えてちょっと圧を感じたというか、やっぱり彼はあのEXOのセンターなんだなあと思っていたのですが、大阪と横浜は割とニコニコしながら踊っていたので、初日に感じたのは圧というより、EXOのセンターとしての貫禄だったのかもしれません。

スホさんもソロコンで「EXOの曲を1人でやるのはとても大変です」と話していましたが、当然それはカイさんにとっても同じで、主にサビのハイライトだけ踊るとしても3曲連続となると相当消耗していた様子でした。「EXOの曲とパフォーマンスをやるのはやっぱり最高ですね(息切れ)」と語る姿がスホひょんと全く同じでした。踊っている最中は常に余裕綽々の顔をしているので、本当にプロフェッショナルというのはすごい。我々はVCRが始まるとすぐに座るというのに…。(そして本人にバレる)

 

・To be honest

最後にみんなが楽しくなれる曲をやりましょう〜!と言って始まったのがこの曲。ちなみに言い方としては「最後にぃ…ウゥッ…最後にぃ〜…!ヒーンッ…最後に〜〜〜!!みんなでえ〜…楽しめる曲を、やりましょうっ……(めそめそ)」だった。そうだね、もう遅いから帰ろうね…またみんなで遊園地来ようね…。

冒頭セルカできゅるきゅるなお顔をしてくれたり、ダンサーさん達全員集合でステージ両端まで来てくれて、チームカイの和やかな雰囲気が伝わってきて、それはもう大変ときめきました。チームカイの皆さんがカイさんのソロパフォーマンスの良さを何倍にも引き上げていると思うので、是非次もお揃いでお越しいただきたい…!

 

②おしゃべりタイム書き起こし

続きましてMCでのカイさんの様子です。箇条書きです。どの日もそうでしたけど、ずっと楽しそうで幸せそうでニコニコしててちょっと照れてて可愛かったです。*5そんなカイさんを思い浮かべてもらえたら幸いです。

 

<名古屋公演MC>

・「僕、褒められるのが大好きなんです…たくさん褒められたいです…」

・「1日が24時間は短すぎるからせめて36時間は欲しい。そしたらコンサートは3時間くらいやれるし、20時間寝られるし……あれっこれじゃ起きてる時間が短いな……(ぽやや〜ん)」

・「みなさん準備はいいですか!?準備はいいですか〜!?…カイは…?準備できた…?まだ…?カイも準備しなきゃ!がんばれ!がんばれ…!」

・白ニット眼鏡で「僕の今の姿、教授みたいですね?まあ僕は文系なのですが…」

・「ステージ上では格好良くキメてますけど、裏へ行くとウワワア〜〜〜!!(猛スピードで着替え)ってやってますよ。ええ。」

・愛嬌したあと「アッヒャハァ〜〜!!(照)スゥッ……」

・「寝る間も惜しんで準備してくれたダンサーのみんなありがとう。そして…この公演をやろうと決めたカイが1番偉いです。よくやった!」

 

<大阪公演MC>

・「せ〜のっ、ウィアッワンッ こんにちはEXOです!!あっ……!?カイです!!!」

・声援をもらってご満悦のご様子で「今日は日記を書きます……"満足✍"。」

・「1階席のみなさん〜!2階席のみなさん……いや待って、そこは何階席なの!?(中2階みたいなところを指しながら)」

・白ニットのお腹が見えるか見えないかでソワソワする観客を、キョトン…と不思議そうな顔で見渡したあと、首を傾げながら観客を真っ直ぐ見据えて「みなさん。全部分かっています。」(このときの顔…!)

・「僕さっき気付いたんですけど、VCR中みなさん座ってましたよね?体力の使い方が上手いですよね。勉強になります。」

・昨日より優しい感じがした(メモに残っていたカイさんの印象)

・「昨日も言いましたけど、褒められるのが好きだからたくさん褒められたいです。」

・目に入った汗を拭いながら「おみず〜……」

・「色んな衣装を用意してきましたが、みなさんがどんな姿の僕も愛してくださるので、やっぱりどんなカイも良いんだなと…今日も自己肯定感が上がったカイでした……☺️」

・「好きじゃなくて愛してるって言ってほしい……(小声)」

・「今まで僕も「みなさん愛してます」と言ってきましたが、言ってもらうのはとても気分が良いですね!!言い続けててよかったあ〜〜〜!!!

・「vlogを撮影する時、セルカ棒を堂々と掲げられない。撮影してると周りのみんなが僕を見ている気がしてしまって出来ない…もう12年目の歌手なのに……。」

・カメラのスイッチングに敏感、必ずカメラ目線がキマる

・「みなさん準備はいいですか?準備はいいですか?…カイは?準備できた?まだ?できた?まだ?(今日もお疲れさま…!)」

 

<横浜昼公演>

・「今の僕に1番必要なのは「30分無料マッサージ」です。」

・最近覚えた日本語「微妙な三角関係…洗濯機…図書館………」

・「ハア〜〜微妙な三角関係ェ〜〜〜………(汗を拭いながら)」

・昼公演と夜公演で内容の異なるステージをやると勘違いした観客のざわめきを秒で察知して「ちがう!!!落ち着いて!!!!」

・「セットリストを決める時、みなさんとデートするような気持ちで曲を選びました。この曲とこの曲をやって…あっでもこの曲をやったら僕が辛いだろうな〜って……ヘッヘッヘ……」

・背中の汗染みをスクリーンに映しながら「翼が生えたみたいですが、これだと右の羽根だけが大きすぎて飛んだら墜落しそうですね。

・こういう顔で踊る人だったの?(メモに残っていた感想)

・肉眼では把握しきれない何かがある絶対に(メモに残っていた感想)

 

<横浜夜公演>

・「カイココロ!オープンマインド!……オッ!?20回やってもらうつもりだったのに、1回目からしっかり声が出てますね!?」

・「僕さっき「借金があります」って言ったんですけど、あれは僕が出演した「春が来た」というドラマの中の台詞で…今日はWOWOWが収録で入っているから…それを言ってみたんですが、みなさんが「えっ…!?🫢」って本気にした顔をしていて…僕のほうがビックリしました。

・「みなさん〜〜〜……たのしんでますか〜〜………(4公演中で断トツか細い声)」

・「今準備しているアルバムのスポをちょっとだけやろうかなと思ったんですが、SM関係者が…「(もしスポしたら)絶対にただじゃおかない」って……でもやりま〜〜〜す★☆」

・汗もミネラルウォーターも一貫して「おみず」って言ってる

I see youの顔すごかった(メモに残っていた感想)

・「そろそろ最後の挨拶に…」会場「やだー!!」「最後の……」会場「やだーー!!!」「やだ?」会場「やだーーー!!!!!」「アアア〜〜おっとっけえ!!?じゃんけんでもする?!!??」(発想がかわいすぎる)

・「次のコンサートも必ず来るんだよ、わかった?」

 

 

総括:この公演をやろうと決めてくれてありがとう

初日のカイさんが、ソロコンをやろうと決めたカイが1番えらい!と自分を全力で褒めていたけれど、まさにその通りでございます。こんなに大変なステージを1人でやろうと決めたことが偉すぎる。約1時間半という一見するとコンパクトに感じる公演ですが、きっとあのパフォーマンスをあのクオリティで無事に完遂できる最長時間だろうと感じました。ほぼ休みなく1人で歌って踊って喋って、チームカイの座長としてもとても素晴らしかったと思います。Beyond Liveの時もそうでしたが、カイさんは自分で自分を褒めて労れる人なのが素敵なんですよね。これは見習いたい美点のひとつです。労り、大事ですよみなさん。

そしてカイさんの踊りはひとつひとつにいくつもの物語が込められているようで、どの曲のどの瞬間も神話のように美しく完成度が高く、踊りや舞が元来どんな意味をもつ行為なのかを思い出させるような公演でした。連綿と受け継がれる五穀豊穣の舞かのように、指先ひとつで物語るカイさんは大変美しく気高かった。それでいて瞬きしているうちに何もかも見逃してしまいそうなほど繊細で、絶対に肉眼では捉え切れないものがあるというか、結局間近で見てもどういう動きなのかは全く分からない…そういう次元の踊りでした。やはりただごとではない。

そんな内容の濃さだったので、4公演を短期間で見た体感としては「いっぺんに観るとその濃厚さにやられて猛烈に体力を奪われるな…」というのが正直な感想でした。たとえるなら、琴線に触れる映画を観て「今日はもうこの映画の余韻に浸りたい…他に何もしたくない…」と思えるような映画を4回連続で観てしまったような、体というより脳が物凄く疲れてるな…と感じるというか、自分の中で消化するのが大変な体験でしたが、その充足感たるや…!終わってからもすごく幸せな気持ちだったのは言うまでもありません。1時間半のランタイムはお互いのキャパシティ的な意味でもちょうどいい気がしますし、90分映画でこの濃厚さなら寧ろ傑作です。アッパレです。

ちなみに4公演観終わったあと友達に「4回連続で観るのは致死量かもしれない…」と話したら「そりゃそうだよ、五穀豊穣の舞は普通そんなに連続で観るもんじゃないよ。」と言われて本当にその通りだと思いました。そりゃ観る側もカロリー消費しますよね。

それとなんと言っても、終始カイさんが楽しそうでコロコロ笑っていて、それだけで満足しましたよね。満足✍。会場中からたっぷり愛されてて、愛されていることに自覚と自信があって、気負い無く受け取っていて、これってなかなか凄いことじゃないか?と胸が熱くなりました。これが12年目の歌手の余裕…と思えば「愛してるって言われたい…(もじもじ)」みたいなことを言ったりするので、ちょっと〜〜〜自分が可愛いって分かってて言ってるでしょ〜〜〜いいと思う〜〜〜〜!!!ってなっちゃいますよね。でも本当に自分の可愛さめちゃめちゃ自覚なさってて最高だと思いました。そうだよ君は可愛いんだよ、分かってて偉いね。

ちなみに横浜昼はかなり前列でしかも通路側だったこともあり、おしゃべりタイムで右側にアンニョ〜ンしに来てくれた時に、視界に何も遮る物が無い状態ですぐそこにカイさんが立っていて、なんかもう「大きくて可憐………」としか言いようがなかった。本当に大きくて可憐でビックリした。すごく溌剌とした空気を纏っていて、2階席・3階席を見上げるお顔の、なんと優しくきらきらとしていたことか…。

そして御本人曰く、既にアルバム作成が進んでいて帰国したその日にMV撮影なんですよ〜〜とのことだったので(ご多忙中来てくれてありがとう…)、早くも次の公演に期待してしまいますね。また新しい作品を引っ提げてツアーしてくれるのを待ちたいと思います。その日までみなさんもサランハジャでございます。それでは……微妙な三角関係!

*1:サビの振付が全部違うのみならず、曲中に同じ振付は一切出てこないような大変な曲。今の踊りもう一回やってみせて…というのが叶わない。

*2:カイさんの怖い顔シリーズでも個人的には上位に入る顔です。目が爛々としていて怖い。

*3:初めてMV見た時は結構衝撃だった。あの振付でサビを成立させられるさすがキムカイ氏…

*4:EXOの楽曲とはまたちょっと違う、コンテンポラリーな感じ。やはり御本人の得意なダンスのジャンルに寄せてるんですかね?

*5:突然我に返ったように厳しいツッコミが入るのも可愛かった。

キラキラリーダーよ神話になれ(EXOスホソロコンサート 2022.10.01)

みなさん!お久し振りです。達者でいらっしゃいますか。

少しずつではありますが、コンサートに行く機会が増えつつありますね。今日はEXOのキラキラリーダースホさんの、めでたくも初めてのソロコンで目撃した、あらゆる想像を超えてくるスホワールドのお話をしたいと思います。

なお今回は昼の部のみ参加しました。しかも人生初のアリーナ席…ち、近くで見ても大丈夫…?という緊張を吹き飛ばす、スホさんにしか作り出せない世界としか言いようのない空間を、出来る範囲で書き起こしたいと思います。毎度ながら記憶違いの部分もあるかもしれません、ご容赦ください。

 

①スホさんは発光している

まずバンドメンバーの方達が位置についてから本日の主役であるスホさんが登場したのですが、スホさんは出てきた瞬間からとにかく眩いほどに光っておられた。あの頬のツヤ…もはやツヤと呼ぶにはあまりに眩しいそれは、内側からも外側からもこれでもかと乱反射しており、乱反射ボーイと呼ばざるを得ない。〽乱反射ボーイ…その目は僕のすべてを〜……*1

人はここまで発光できるのだろうか?という疑問の回答は「少なくともスホさんに関しては可能」であると断言します。スクリーンに映ったお顔を見た時「あんなに光ってる人見たことない!!!!」ってなりましたもんね。キラキラリーダーの名は伊達じゃあございません。

 

②スホさんは歌が上手い

今更すぎて申し訳ない気持ちなんですが、スホさん、ほんとうに歌が上手い。なによりご本人も歌うことがすごく好きなんだろうなと感じる歌唱でした。EXOにはメインボーカルが既に3名いらっしゃいますが、スホさんの声はどのメンバーの声質とも大きく異なる、特別にクリーンな響きを持っていますよね*2。EXOの中では異質でオンリーワンなのですが、あまり感情を全面に出して歌うイメージが無かったので、「こんなにエモーショナルに歌う人だったのか!」と新しい発見もありました。最初の方は緊張もあってか、スホさん自身がその感情に引っ張られてやや前のめり気味な印象がありましたが、もはやその感じも含めてめちゃめちゃ良かったんですよね。なにせ生バンドでしたからね、ボーカリストは前のめりでナンボですよね。

なお私は1stのstarry nightが大好きなのですが、いや〜〜……素晴らしかったです、心の底から素晴らしかった。皆さん聞きましたか?終盤にかけて加速していく声の伸びを……星の洪水のような彼の歌声が会場を埋め尽くしていった、あの美しさを……。

 

③スホさんのサプライズ選曲

スホさん「〽ざ〜〜ん〜こ〜〜くな天使のように〜……」

我々「ヤバい

(私の前列のスホペンさんが膝から崩れていた)*3

 

④スホランドの存在について

初めてスホランドという概念を知ったのはほんの2〜3年前と比較的最近なのですが、噂で聞くところによるとそれはとても神出鬼没で、ふとした瞬間に現れてはあっという間に消えてしまうので、見られたらラッキーな存在…スホランドにはそんなイメージを勝手に抱いておりました。

そして実際に見て感じたものから導き出した私のスホランド解釈は、「スホさんの言動から生まれる独特のグルーヴ感が、スホランドそのものである」です。彼の生真面目な性質とお茶目さゆえに、本人の意思と関係無く出てきてしまう、すごく不思議な…独特の時間の進み方というか…とにかく面白いです。なんとも言えないけどクセになる、それが魔性のスホランド*4。スホさんにしか生み出せない、スホさんの好きなところがぎゅうぎゅう詰めになっている世界。まさかのスホさん本人ですらコントロール下にない楽園、スホランドには自由な魂があります。

 

⑤EXOの曲はマジで大変 byEXO

9人グループというまあまあ大所帯なEXOに在籍しているスホさんですが、ベテランアイドルと言えど単身でステージに立ち、パフォーマンスするとなるとかなり勝手が違った模様で、見るからにそわそわした様子で「普段のコンサートなら他にもメンバーがいるから、僕じゃなくてメンバーを見てたりするけど…今日ここにいる皆さんは…僕だけを見ているんですか……?」と言い出したりして微笑ましかったです。そんな、もしかして……?みたいなトーンで言われるとは思いもよらなかった発言に会場中が「そうだよ!!君だけの為に来たんだよ!!今更そこに気付いたんだね!?そういうところが大好き!!!」と叫びたかったはずです。でもまあ確かにいつも誰かしらいるもんね…会場中から終始自分だけ注目されることに戸惑うスホさん…ソロコンサートデビューおめでとう…!

セットリストにはEXOメドレータイムもあり、一人でEXOの曲を数曲歌って踊ってくれたのですが、終わった時にはかなりゼエハア状態で、センターのドラム前の段差に座りながら「ハァ…EXOの曲を…ハァ……一人で歌うのは…凄く大変です……」と語っておられました。グループで歌っている時はこちらも「みんな歌が上手いなあ〜」と呑気に見ていられるのですが、いざ一人で歌っているのを見ると「いやいやこれは大変すぎる、そもそも全く独唱用に作られてない…エッここでこんな高音出させる!?鬼!!?」みたいな驚愕の連続でした。一体どういう人達なんだEXO、只者ではない。みんなサラ〜ッとやるから大変そうに見えないんだけど、よく考えてみればあんなに激しく踊りながら連続3〜4曲歌ってくれたりして…それってかなりの重労働ですよね…いつもありがとう…。

 

⑥スホさんは素直でよろしい

スホさんの言葉は非常に素直というか、「段々と調子が上がってきました…(※3曲くらい歌った頃)」や「夜の部のほうが上手にできると思います!」など、コメントが正直すぎるところがとにかく最高でした。発言した後に「でも!これ(昼の部)が僕の人生初のソロコンサートですから!!」と明るくフォローしてくれるところまで、可愛くて面白すぎるなあと思いました。恐らくメンバーが近くにいたら「ちょっとこのヒョン…」と突っ込まれそうな発言のオンパレードでしたが、我々はスホさんのファンなので「うんうん、回を重ねていくとどんどん良くなるもんね!ていうかもう既に上手にできてるよお〜〜!!」ぐらいにしか思いませんので問題ないです。

あと締めの挨拶で「僕がWe Are!と言ったら皆さんは、ワンッ…(超小声)、EXO!と言ったら、サランハジャッ…(超小声)って言ってくださいね」と指示してきたので、会場内も躊躇いつつ言う通りにしたのに「ちょっと声が大きいんじゃな〜い!?」って言ってたのが滅茶苦茶すぎて最高でした。そのままスタコラサッサとステージから消えてしまうのも可愛かった。最後の一秒まで、余すところなくとびきり可愛かったです。袖にピューッと走っていく後ろ姿すら可愛かった。

 

総括:キラキラリーダーは本当にキラキラしていた

ご本人にとっても初めてのソロコンサートでしたが、彼を愛する人のみで構成された空間はとても穏やかで居心地が良かったです。皆さん静かに(色々な激情を抑え込みながら)スホさんのソロコンサートデビューを見守る、どこまでもスホさんに優しい世界。スホさんがひひひ、とはにかめば我々もこれ以上なく幸せな気持ちになるのです。会場が「同じ空間にスホさんがいる…!動いてる…!かわいい…!」というときめきで満たされていて、一時間ちょっとの公演でしたが、妙に満足感というか充足感というか、スホさんを存分に満喫させてもらった……と思えた時間でした。「僕達はずっと青春です」と真っ直ぐ伝えてくる笑顔が眩しくて、EXOのリーダーがスホさんで良かったなあと胸がいっぱいになりました。「さすがスホ…ウンウン」と自分で自分を褒めてたのも大好きです。ドラマ撮影や次作ソロでまたまたお忙しそうでしたが、再び元気に会えるその日まで皆さんもサランハジャでございます。

*1:https://youtu.be/bRG79Z9CvS0

*2:曲中で「これは彼の為のパートだな」とハッキリしてるのはスホさんだと思う。転調パートで曲のムードを一発で変える役割なんか特に。

*3:何故かこのタイミングでバンドメンバー紹介してくれた

*4:魔法のiらんどと韻が踏める。

アイドルに染まったこの俺を(2022.4.4 SUPER JUNIOR ファンイベント さいたまスーパーアリーナ)

f:id:BlueAndYellow:20220406201643j:image

みなさん!!ご無沙汰しておりました。お元気でしょうか。

コンサートの開催も参加も、恐ろしくハードルの高いものになってから随分経ちました。もどかしさばかりが募る状況の最中ではございますが、先日SUPER JUNIORのファンイベントに運良く参加してきました。

2年半振りの来日公演ということに加えて、自分にとっては初めてのファンイベント…コンサートとは勝手が違うだろうし…しかもあのSUPER JUNIORのファンイベント…一体どうなってしまうのだろう…?という期待と不安に胸膨らませながら目撃した8人のお兄さん方について、今回はお話したいと思います。*1

文章として整理するのはもう不可能だったので箇条書き形式になります。彼らを観た時のあの散漫な印象を、そのままの形で散文として書き留めました。雰囲気だけを感じ取っていただけたら幸いです。もうとにかくひっちゃかめっちゃかだったので、記憶があやふやになっている箇所があるかもしれません。ご容赦ください。よっぽど大間違いしている場合はお知らせください。

座席は4階席のほぼ真正面だったのですが、全体がよく見えて個人的には凄く良い席でした。毎回ここがいいな……ってくらい居心地が良かったです。たまたまお隣だったイェソンペンのお姉さんも「ここは地味に神席です」と仰ってました。*2

それでは以下、SUPERMANの重低音をバックに玉座に座ってズラッと並ぶ8人に圧倒された感動を掻き消す勢いで面白かったSUPER JUNIORのみなさんです。なお、永遠より長かった写真コーナーでの様子がメインになっております。あの写真コーナーのテーマが「隔離期間中の写真」だったこと、私も忘れてましたけど多分会場中が忘れていたと思います。

 

リョウクちゃん:かわいすぎてAIかもしれない

・歌がうまい

・リョウクちゃんが喋ると会場中から「かわいい…」「かわいい……」と声にならない呻き声が漏れる

PCR検査で悶絶している動画をさいたまスーパーアリーナの大スクリーンで流される

・メンバー「今の動画もう一回流してくださいwwww」

・酒癖の悪さをバラされる

・メンバーが大騒ぎしてても常に落ち着いているマンネ

・ソロアルバムのタイトル曲を一節歌ってほしいとリクエストされたけど、「歌えない…恥ずかしいから…」

・会場「かわいい………………」

 

ドンヘくん:ドンヘくんが楽しいなら万事オッケー

・ヒョクちゃん大好き

・常にシウォンさんによちよち可愛がられている

・客電が落ちて真っ暗な空間でドンヘくんのカメラのシャッターがバシャッ…!と光る(撮られたのはヒョクちゃん)

・兄さんとヒョクちゃんが喧嘩した時のキレ顔ドアップ写真を本人無許可でさいたまスーパーアリーナの大スクリーンで流す

・ドンヘくん大喜び

・笑い方が豪快

・「いま3時間15分過ぎたって!!!アッッハッハア!!!!」

・締めの挨拶での「健康な体で韓国に帰ります」という言葉選びの美しさ*3

 

イェソン兄さん:真面目な話を聞いてもらえないお兄さん

・歌がうまい

・テーマとは一切関係無い写真を延々繰り出してメンバーからヤジが飛んできてもノーダメージ

・「僕いま真面目な話してますよ?」

・ヒョクちゃんと喧嘩した時のキレ顔を流された直後、アプリで加工撮影した綺麗な兄さんの写真を紹介

・「さっきと全然顔が違うけど、どれが本物なの?」

・すじゅはステージで歌詞や動線を間違えると罰金になるが、兄さんは何も間違ってないのに何故か罰金140億ウォンが科せられている

・「イェソンはそういう契約になっている」

・小さい頃からイェソン兄さんに憧れている、という男性ファンに「ウオ〜〜!!!(嬉)」

 

シウォンさん:立っているだけで主張が激しすぎる

・4階客席から見ても黒髪がツヤツヤのビカビカ

・イェソン兄さんが喋っている背後に映り込むだけで存在感がすごい

・公演の為に来日することを「日本に出張する」と表現する

・桜の下を歩いている後ろ姿の写真を見たメンバーの感想「会社をクビになったサラリーマンの1日」

・桜の前で微笑む写真を見たメンバーの感想「目が全然笑ってなくて怖い」

・ファンサ動作の全てがとにかく"チェ・シウォン"で自分に向けられてなくてもときめく破壊力

・東京のクラブを満喫して1人でタクシーに乗って帰るアイドル

・「すみません、ハイボール1つお願いします」

 

キュヒョンさん:声量が凄まじいド迫力歌手

・歌がうまい

・生声が聞こえそうな勢いで歌っていた

・良いタイミングで「皆さんどうぞ座ってください」と言ってくれる

・「僕は褒められて伸びる人です…もっと褒めてくださいね…」←可愛い

・「オープニングから既に泣いている方がいましたが……流れる涙を時の風に重ねてくださいね…」←X JAPAN

・じわじわ面白いタイプ

・美味しい食べ物の説明が上手い

・シウォンさんの話に食い気味で猛烈に拍手するシウォン強火ペン

 

ヒチョルひょん:ありがとう宇宙大スター

・とにかくX JAPANを歌いたい

・「拍手するな!!!」

PCR検査で悶絶している動画をさいたまスーパーアリーナの大スクリーンで流される

・トイレに行きたいと言ったらとぅぎひょんにペットボトルを渡されて「あ、これじゃ…俺のサイズが…」と口走る

・笑って噴き出したシウォンさんの唾が腕に付いてキレながら「馬の唾!!!!」

・トゥギひょんのことめちゃめちゃ頼りにしてるんだろうな

・サプライズ動画で誰よりも号泣して会場中がもらい泣き

・泣き顔のままじっと客席を見つめて最後まで残ろうとするヒチョルひょんを、ドンヘくんが笑顔で連れて行ってくれる

 

ヒョクちゃん:バースデーボーイの悲劇

・「皆さん今日はSJのファンミだと思って来てると思いますが、違います。僕のバースデーパーティーです!」「一部の人が帰り始めましたね」

・最初の挨拶でいきなり自分でバースデーソングを歌い出して「何故お前が歌うんだ!?それは俺達が準備しているのに!!?」とヒチョルひょんに肩を掴んで揺さぶられる

・本気で顔面ケーキされそうになってすっかり怯える

・ヒョクちゃんとヒチョルひょんはとにかくふざけたい

PCR検査中の悶絶動画と、検査の順番待ちをしている時の憂鬱な顔のアップ写真をさいたまスーパーアリーナの大スクリーンで流される

・誕生日プレゼントに会場のブルーウェーブをおねだり

・フジテレビへの全力の媚びを隠さない

・フジテレビへの感謝を言い忘れたメンバーに厳しい

 

とぅぎひょん:イトゥク(28)

・MCでまとめ役かと思いきやかなり好き勝手にやってる

・「今日は月曜なのにこんなに来てくれて…皆さん貴重な有給を使ってくれたんですね…」

・ファンから「オッパは私が知ってる40代の人で1番かわいいです」と言われたとご満悦

・前日の新聞記事で28歳と書かれて「イトゥク!!28歳!!やったーーー!!!!」と大喜び

・「年を取ると話が長くなって……」

・隔離期間で3.5kg増量報告

・自前のスマホからいきなり音楽を流してセルフBGM演出する

・サプライズ動画後にヒチョルひょんと「お前泣いてんの〜〜!」と泣き笑いで言い合う様子に会場中が泣き笑い

 

総括:ドンヘくんが言ってくれなかったら3時間経ってることに誰も気付かなかった

いや〜笑いすぎて死ぬかと思いましたね。何だったんですかねあの写真コーナー。特にPCR検査のくだり。よりによって鼻に棒を突っ込むというPCR検査を、人生において他人に見られるのは大抵の人は遠慮したい瞬間を、みんなで大騒ぎしながら動画に撮ってスーパーアリーナのでっかいスクリーンで流して大爆笑するアイドル……アリーナのスクリーンを家のテレビみたいにするアイドル……SUPER JUNIORはすごいです。唯一無二で前代未聞だと思います。未だに思い出し笑いしてます。思い出し笑いするライブは良いライブの証です。

そして最後のサプライズ映像で「色んな人の人生に根を張るSUPER JUNIOR」を垣間見られて、本当に本当に胸を打たれました。自分達があんな風に愛されているのを知ったら、それはメンバーも泣いてしまいますよ。あの映像でSUPER JUNIORへの思いを語る1人1人に「よかった…よかったね…!」と拍手しながら私も泣いていました。素晴らしいサプライズだったのではないかと思います。大変よいものを見させてもらいました。

それではみなさん、ご本人達の口から聞けた「今年は絶対にスパショやる!!」の言葉をカロリーにして、来るその日まで大事な有給を温めておきましょうね。またご連絡致します。

 

*1:シンドンさんお大事になさってください…

*2:お姉さん先日はお世話になりました!おかげで最初から最後まで楽しかったです!

*3:「健康な体で帰ります(=日本に帰って来ます)」という意味だったのかも、とご指摘頂きました。

ノッキン・オン・ビーエルズ・ドア




f:id:BlueAndYellow:20211229190014j:image


みなさん、年の瀬です。お変わりありませんか。

突然ですが、わたくし今年は例年になくBL書籍を多く読みました。あまりにも面白い作品が多くて、ここ数年ほとんど読んでいなかったのを反省するくらい、まあとにかく何を読んでも面白かった。漫画っていいなあ〜!とご機嫌な気分で読みまくりました。あとはなんと言っても電子書籍で手軽にサクサク読めるのが大きかったと思います。BLに限らず、あらゆるセールや無料公開を開催してくれた電子書籍配信サービスの恩恵にあずかりまくり、おかげさまで東京リベンジャーズもゴールデン・カムイも無事履修できました。そっちもヤバかったですね。*1たくさん漫画が読めてハッピーです。ありがとうテクノロジー

よしよしそれなりの作品数を読んだぞ、ということで、せっかくなので今回はその中でも特に好きだったBL漫画をご紹介したいと思います。なお2021年発売ではないものもございますのでご了承ください。だいぶ偏りがあるというかこいつ年下攻め好きだな*2、といった具合に好みがバレバレのラインナップとなっておりますが、今更知るような話でもございません、ご覧の通りです。ほんとはラナ・デル・レイの7曲目の話とか*3色々書きたかったんですが泣く泣くカットしました。

なお紹介する作品は基本R-18だと思ってくださいませ。作品ごとに簡単な説明を添えておきますので、ピンときたら年末年始のお供にどうぞ!

 

 

  • あなたを殺す旅  (作:浅井西)

「恋は生殺与奪のシーソーゲーム」

そもそも今年BLを読むようになったきっかけは、信頼筋のお友達にこの作品をすすめられたからなんですが、こりゃ好きに決まっていますね。命を狙う男と、自分が狙われていると分かっていて側に置く男が織りなす恋のシーソーゲーム……いま古今東西のあらゆる男の顔が浮かんでいる皆さん、そうですあなたです。読んでください。

 

  • フェイクファクトリップス  (作:末広マチ)

「お前いつから俺のこと好きだったんだ?」

リーマンライバル物も一大ジャンルかと思いますが、その上この作品は大型犬スパダリ✕猫系強気美人がもだもだプンスカしており、しかもリーマン物でありつつ学生時代プレイバックパートもあるという、一度で五度くらい楽しめるマシマシ全部乗せです。同級生も良いですよね。あと絵も素晴らしく綺麗でウットリです。

 

  • ザ・ゴールデン・モーニンググロー・ロード

「めっちゃ声出してこ!!!!!!」

とにかく最高かわいい仲良しドタバタ大騒ぎBL!大好きで〜〜す!!内容としては「仲良しカップルが相手のリクエストに応えて頑張ってラブホをハシゴする」という話です。そんなBLあるのかい?あるよ!これだよ!読んでごらん!

 

  • そんなに言うなら抱いてやる  (作:にやま)

「そんなに言うなら抱いてやる」

まずもってこのタイトルが凄くないですか?「郵便配達は二度ベルを鳴らす」並の名タイトル。そして中身も凄い。帯の通りの超絶罪なオトコに気圧されつつ、本当に"罪なオトコ"とは誰なのか……?と思わずにはおられない読後感。恋は惚れたほうが負けなんですわ。

 

  • 僕のおまわりさん  (作:にやま)

「初恋を拗らせたおまわりさんと元おまわりさんと猫」

にやま先生アゲインです。みなさんは初恋を長年拗らせた続けたお兄さんと、そうとは知らずのんびり暮らしていたのに突然猛アタックされて「いいの…?俺おじさんだよ…?」と戸惑うお兄さん(現・おじさん)はお好きですか?ハイ、お好きですね!こちらです!ごゆっくりどうぞ!

 

  • 春懸けて、鶯  (作:那梧なゆた)

「先生オレとタイマンはってよ」

やって参りました、現役無気力ふわふわトップヤンキーと、現役高校教師で伝説のヤンキーのタイマン・ラブです。抗えぬ年下攻め魔力よ。今となってはすっかり落ち着いた社会人だけど腕っ節が異様に強いとか、そういうのってどうしてこう、グッとくるんですかね。あと先生が「学生と関係を持つ気は無い」って一貫してるのでそこも好きです。

 

  • メロンの味  (作:絵津鼓)

「君の好きなところについて」

これもすっかり心を奪われました。お互いのフルネームもよく知らないまま始まった同棲生活の中で、少しずつ、ほんとうに少しずつ相手のことが見えてくるたびに変容していく関係。見上げた空の描写ひとつで「あっ」と思わせる巧さに唸った。ただし心身の調子が良くない時に読むと少々つらいかもしれないので、そこはご注意願います。

 

「夜が来る、朝が来る」

自らの人生を犠牲にして人々の生活を守る覡(かんなぎ)に選ばれてしまったエルヴァと、彼に懐く銀細工職人のファンタジーです。恋愛が発展していくにつれて問われる「覡」の存在意義と、伝統継承が抱えてきた問題が浮き彫りになっていき、その筆致に圧倒されます。そしてここの大型ワンコくんが可愛い〜〜〜んですよ、そら絆されちまいますよ!

 

  • 高良くんと天城くん  (作:はなげのまい)

「ほんとちゅきめろ〜〜〜〜」

pixivで見かけてあまりの可愛さに即日単行本を買いに行きました。高校生・同じクラス・別グループ(多分ここがミソ)の高良くんと天城くんが、恋人同士になってから延々と「はあ??マジ好き」ってやってます。でもそもそもタイプが全く異なる2人なので大体すれ違いが起きています。高校のクラスのカップルの惚気を聞いてる気持ちで読みましょう。

 

  • 屍と花嫁  (作:赤河左岸)

「兄さん、おねがい」

2021年に読んだBLで最も胸が震えた、広いようで閉じている世界にふたりぼっちの物語です。赤河左岸さんの作品は「果ての荒野でバカンスを」も大好きだったのですが、どうにもならない孤独を描くのがうますぎます。読んだあとはいつも、とてつもない寂しさと向き合わざるを得なくなります。だから好きです。

 

 

以上10作品でした!みなさまよいお年をお迎えください。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

*1:どちらも登場人物達の男関係の縺れで話が拗れている。ここにもやおいがある。

*2:10作品中5作品が年下攻め。意外と少なかった…。

*3:スイートハート・トリガー(作:ニャンニャ)を読んでください。

生き残るための3つのやおい

f:id:BlueAndYellow:20201208235404j:image
みなさん、調子はどうですか?やおいは足りてますか?

昨年大盛況なさっていた憧れのぽっぽアドベントが今年も開催されるとのことで、僭越ながら12/9を担当いたします村松でございます。ありがとうはとやん、ユーのパーティーはいつだってマーベラスだよ!

今年のぽっぽアドベントのテーマは「変わった/変わらなかったこと」。

皆さんの生活の中にも変わったこと、変わらなかったこと、変わるはずだったのに変われなかったこと、きっとたくさんあったと思います。逆にこの状況で変わらなかったものってすごいな何だろう?と考えた時に気付いたんですよね、「私、今年もずっとやおいの話してたな…」って………。

毎日しんどいな〜と感じる出来事ばかりです。こんな状況で頑張っててみんな偉いです。それは間違いない。やおいで腹は膨れないかもしれませんが、辛いとき励みになったり、考え過ぎて眠れなくなったり、どんな曲を聞いてもイメソンに聞こえたり、そういうの結構大事だと思うんですよね。たとえ明日世界が滅びようとも、今日私はやおいを見つめるわけです。

というわけで今回は今年私が出会って衝撃を受けたり打ちひしがれたりハッピーになったやおいを3つご紹介します。そう、生き残るための3つのやおいです。

 


(お察しの通り、傑作です)

 

あまりネタバレしないように努めますが、なるべく前情報は避けたい!という方はタイトルだけチェックしてお早めにご観賞くださいませ。

ちなみに今年の春に猛烈な勢いでやおい映画を語る記事を書いたので、良かったらこちらも併せてどうぞ。そもそもこの記事を書いた時って、世の中が超ウルトラ・ハイパー・テンヤワンヤしている真っ最中だったんですが、やおいのことを思う存分書いて元気になったのである程度は自分のテンポを乱さないのも大事だなと思いました。Don't mess up my Tempo.*1

なお、「今年はこのやおいがキてたぜ」という有益情報は随時募集しております。何らかの形でご一報ください。馬のように走って確認に向かいます。

そして12/10のぽっぽアドベントを担当されるのは、麦酒さん、あだもさん、ジジさん!連日素晴らしい記事がアップされ続ける凄まじい企画ですよね、ぽっぽアドベント。忙しさに追われながらも、毎日楽しみがあるありがたみがシミシミ・Ko Ko Bop……*2

いよいよあと2週間足らずでクリスマスですね。そしてもういくつ寝るとお正月。そう、お正月にはカン・ドンウォン主演作「半島」(邦題は省略いたします)が公開になります。ソウル・ステーション・パンデミック、釜山行きと続いて一体どんな絶望の淵ショットが見られるのか、ヨン・サンホ監督*3のファンなので今から腹筋とスクワットをしながら待機しています。一年の計は元旦にあり、でございます。2021年もアツい年にしていこうぜ。

それでは、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

ハリー・オーガスト、15回目の人生(作:クレア・ノース)

ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)
 

やおいポイント「どうしてお前だけが手に入らないんだろう」

 

ペース配分が下手なので最初からトップギアで走ります。この記事を見た全ての人に必ず読んでほしい一冊、「ハリー・オーガスト、15回目の人生」でございます。

主人公ハリー・オーガストは記憶を維持したまま何度も同じ人生を生きる体質を持っています。ある人生では戦地へ赴き、またある人生では愛する伴侶との別れを経験する。死に方もその人生によって様々で、共通するのは、過去の人生の出来事全てを記憶したまま転生すること。やがて何度か転生を繰り返していくうちにハリーは、この世界には自分と同じように人生をループしている人達がいることに気が付きます。

あらすじを簡単に説明するとこんな感じなのですが、さて勘の良い皆様方はもうお気付きですね?ハリー・オーガストには、何度転生しても巡り合ってしまう存在がいるのではないか?、と。

ハリー・オーガストは繰り返し同じ自分に生まれ変わりながら、ひとつひとつ違う人生を送り、違うエンディングを迎えます。そしてその何十年、何百年という膨大な時間の中で、ある人物と壮大かつ壮絶な追いかけっこを繰り広げることになります。そこには愛も憎しみさえも超越した激情があります。もう名前なんか付けられないやつです。そんなのみんな大好きじゃないですか。

今作はハリー・オーガストが誰かに追われ続けていると同時に、彼自身が誰かを迎えに行く話でもあります。それはメビウスの輪のように、ペンローズの階段のように、永遠に辿り着けないまま同じ所をぐるぐると歩き続けているかのような途方も無い話です。最も愛する存在が最も遠いのです。

読み終えた時はもう、あまりのことに茫然自失になり、やおい愛する人間としての自負心が見事に砕かれました。最終章とんでもねえことになってんの。つまり最高ってことです。この世にはまだ私の知らないこんなにヤバイやおいが存在するのだ。この世は生きる価値がある。

以前も記事でお伝えしましたが、人の数だけやおいがあるように、やおいの定義も千差万別です。本作のやおいの根底に流れるのは圧倒的な虚無感です。確かに愛はあるのに、愛が記号以上の働きをしない、させない突き抜けたドライさ。例えるならジョニー・トー監督作の「毒戦 ドラッグ・ウォー」を彷彿とさせるような、カラカラに乾いた男達の情念と生に縋りつく様をじっくり描いております。

ちなみに私はテリー・ホワイト御大の作品も大好きなのですが、このお名前にピンとくる方は必読かと思います。他の全ては手に入るのに、お前だけがずっと遠いままだ、な人達を見届けてください。

 

ソン・ランの響き(監督:レオン・レ)

ソン・ランの響き(字幕版)

ソン・ランの響き(字幕版)

  • 発売日: 2020/09/04
  • メディア: Prime Video
 

やおいポイント「その感情の揺らぎに名前があるなら」

 

続きまして、ベトナムの街を舞台に孤独な男2人が共鳴していく様を描いた「ソン・ランの響き」です。

正直に申し上げてこの作品がやおいかと言われるとちょっと悩ましいんですが、あまりにも淡く、あっという間にシュワシュワと消えてしまいそうな2人の感情の機微に猛烈に胸を打たれたので、ここで書きたいと思います。

80年代サイゴンで取り立て屋のユンと伝統歌舞劇の花形役者リン・フンが出会い、初めはお互い警戒したり距離を取っていたものの、心根の優しいユンを知るにつれ、リン・フンはその警戒心を解いていきます。甘酸っぱい…!と悶絶すること請け合い。2人の間で何かがゆっくり確実に変わり始めるそのグラデーションの、ささやかながらもなんと鮮やかなことか…!

そして部屋の内装やふとした映像はウォン・カーウァイリスペクトに溢れ、登場人物達の表情や、窓の外の景色たちに至るまで監督の美意識で拘り抜かれていて、溜息が出るほど美しい作品です。うっとりしてしまうシーンの連続です。

ユンとリン・フンの感情の交信はまだ恋ではなく、"あと少しで恋になるはずだったもの"だったのでしょう。彼らは確かにお互いへの好意に気付き始めていました。しかしそれは初恋にすらさせてもらえないまま潰えていく、生まれる前に終わる初恋物語なのです。そういった点では、2010年代を代表するメロ作品でもある韓国映画の不汗党を彷彿とさせるものがありました。今となってはあれが恋だったのか、誰にも分からなくなってしまった話です。

もしユンがあの日リン・フンへ象のネックレスを渡せていたなら、きちんと恋の形になっていたんだと思います。2人の関係性ももっと確かなものになっていたのかもしれません。でも、彼らの恋はそこまで辿り着けなかった。辿り着けなかったけれど、リン・フンは恋の気配だけを知ってしまった。それを教えた孤独で優しい借金取りはもういないのです。彼を失った世界で、孤独な大衆演劇の名役者は恋を体現しながら生きていく……伝承される御伽話のようでありながら、ひりつく痛みが忘れ難い1本です。

 

カラオケ行こ!(作:和山やま)

カラオケ行こ! (ビームコミックス)

カラオケ行こ! (ビームコミックス)

 

やおいポイント「聡実くん、カラオケ行こ!」

 

さて皆さん、カラオケはお好きでしょうか。ちなみに私がカラオケでよく歌う曲はL'Arc~en~CielのNEO UNIVERSEです。そしてこちらは、ヤクザの若頭と中学生の師弟・友情・それ以外の何かが、古びたビルのネオンのように不安定に鈍く光る「カラオケ行こ!」でございます。

中学の合唱部に所属する岡聡実は、ひょんなことからブラック企業(暴力団)勤務の成田狂児に目をつけられ、狂児の歌唱力向上の為にマンツーマンでレッスンすることになります。狂児は聡実を師と仰ぎ熱心に練習に明け暮れ、同僚(ヤクザ)に師を紹介するなどして交流を深めていきます。表紙からも分かる通り、たとえ自分はずぶ濡れになろうとも聡実に傘を差し出すような自己犠牲…とまでは言いませんが、狂児にとって聡実は一貫して守る対象なんですよね。「聡実くんが風邪で歌えへんようになってもうたら俺、指詰めなあかんやろ(笑)」みたいなブラック企業ジョーク言いそうじゃないですか。狂児の聡実への発言は表現がオーバーなだけで基本は本音っぽいところが良いと思います。若頭は聡実に嘘は吐かないのです。

聡実は最初こそヤクザの狂児に対して怯えていましたが、それも段々と慣れてきて遠慮が無くなっていきますし、そもそも初めから口には出さなくても顔には全力で出していたので、そんな慇懃無礼なところも狂児的にはラブだと思います。そうそう、今作の根底にあるのってラブなんですよ。親愛の情。そして狂児が聡実を可愛がったり大事にすることを、聡実は許しているんですよ。許しって最大の愛じゃないですか?ねえ??

ドライに見えて案外頑固者な聡実と、暴力に躊躇いが無く根がヒモ体質なヤクザ者の狂児。水と油のように見えて実は相性が良いということで、セトウツミ的なノリで2人が延々とカラオケで喋ってるだけの話とか読みたくなりますよね。あと実写化するなら狂児はチュ・ジフン、聡実はド・ギョンスに演じてほしいです。チュ・ジフンに「なんやシルバニアファミリーみたいやなあ!」って言ってほしいし、ド・ギョンスに「カスです」って言ってほしい。確実に合う。もう見なくても分かる。よろしくお願いします。

なお私は狂児×聡実と見せかけての聡実×狂児で、要するにリバです。超リバです。どっちでもオッケー!*4ここがこの記事の着地点です。ご清聴どうもありがとうございました。皆さん、良いお年をお迎えください。

 

 

 

*1:言わずと知れたEXOの超複雑構成な代表曲。90分の映画を3分44秒に詰め込みました的な情報量がある。

*2:言わずと知れたEXOの夏のアンセム。全くカラッとしていないところが逆に良い。

*3:ナ・ホンジン監督に「お前は何者だ?」と嫉妬され、カン・ドンウォンに「監督本人が気になる」と言わせた強者。

*4:言わずもがな成人後の話です。